Penspinning

インフィニスト概論第二回『伝説のインフィニスト達』

第二回です。第一回はこちら

今回は世界で最初のインフィニストが韓国で誕生してから今日までの
他のインフィニストに絶大な影響を与えた”レジェンド”たちについてお話していきましょう。
本記事の要旨は、ただの過去の上手い人の紹介だけではなく
「インフィニストを志す上で道標となる”模範解答”を用意する」ことであります。
今回紹介するのは3名です。

****************以下本題****************

一人目、angmaramyon_a(韓国)


いわゆる「コリアン」と呼ばれる世代のペン回し韓国フォーラム(PDS)所属スピナー。
確認できる世界で最初のインフィニストであり、その技術力は現代でも最強の呼び声が高いです。
未だに熱心なファンも多いコリアンスタイル(RSVP MXなどを用いた円軌道中心の美麗なスタイル)
を全てのスピナーが参考にしていた頃、その中で一人だけ、彼は完全に我が道を行っていました。
彼は当時半分冗談のように扱われていた「インフィニティを主軸としたFS」を連発し、
その完成度と難易度で高い評価を得ていました。
彼の異常性は、第一回の内容を踏まえた上で

「世界最初のインフィニストなのにすでにインフィニティしていない」

ことにあります。
彼のFSは現代のインフィニストのそれと同じ方向性であり、
ガンマンやラダーをハーフウィンドミルと組み合わせた”激しい”ものでした。
何度もいいますが、彼が登場した時点では「インフィニティを主軸としたFS」自体希少でした。
「インフィニティをメインにFS組んでみたいな~」と思った人ははまず通常
”インフィニティ”の練習を始め、それから”ダブル…”、”トリプル…”と練習することでしょう。
ところが彼のFSを見てみてください。一本たりとも彼がその系統の技をやっているものはありません。
これは凄まじいことです。きっと彼は「インフィニティをメインに(ry」ではなく
「ペンの端持ってFSしよう!」と考えたに違いないと、そう思わせてくれます。

さて、そろそろ彼の具体的な技術にも着目していきましょう。
まず上記動画の0:09~0:10です。なんかおかしいことやってますね。
34でペンの端持った状態で軸移動なしのガンマンをやっています。
読者の皆さんもやってみましょう。技術の高い現代のスピナーならば少し練習すればできるでしょう。
このガンマンがシングルアクセルであることに気づかなければ。
彼はこれを日常的にFSに入れていました。
「あんぐまといえばガンマンだよね」というファンも多いです(1名)
ここに限らない話ですが、彼はガンマンを多く使うスピナーでした。
ガンマンはペン回しの技の中で最も難しい系統です(多分異論はないと思います)。
ガンマンを上手に使っているFSを見ると、「おっこの人ペン回し上手いなー」と思いますね。

次に0:22~0:24のソニガチャ(?)です。
重力を利用して滑らかに繋いでいるためソニガチャと言うかソニヌルです。
上手なインフィニストのFSにはこのように重力を上手に利用した動きが多い気がしますね。
ペンの端を持っている時、当然ですが反対側の端は強い遠心力と重力を受けます。
指でこれの釣り合いを軽く調整してやることで、小さな指の動きで
ペンが派手に動くといった現象が起こります。

0:54~のFS。インフィニスト的にはお手本のようなきれいなFSです。
インフィで難しく見せるにはこのように、重力に逆らうような動きを多く盛り込めば良いです。
読者の中にインフィニティリバースの練習をしたことがある人がどれだけいるかはわかりませんが、
基本的にペン端を持って重力に逆らうのは難しく見え、また実際難しいです。

というわけでangmaramyon_aの紹介でした。
インフィニストを志す人がこれからいるとすれば、彼のFSをいくつかコピーしてみると
大きな財産が得られるかもしれません。






二人目、ippei(日本)


国内におけるインフィニストの第一人者であり、
世間が”上手いペンスピナー”を決めることに関心があった時代に
”最強のインフィニスト”として挙げられることがおそらく最も多く、
後に紹介するMaria氏と合わせて「インフィ枠」という概念を生み出した国内スピナーです。
2017年は目立った活動がありませんでしたが、今回紹介するレジェンドの中では
今だ現役という点が特筆すべき項目でしょう。

氏はインフィニストとして、”ペンの端を持って行うFS”を極めてストイックに突き詰めてきたスピナーで、
極めて理論的かつ合理的に「上手いインフィ」を明確にしながらFSを組んでいます。
たまにインフィ関連のブログ記事などを書いていますが、ほとんどの記事で
インフィニストの抱える問題と改善案をロジカルに書いています。
インフィニスト志望の人はぜひ探して読みましょう。
長年に渡る理論の積み重ねと、ペンのグリップを溶かして形を変える(!)ほどの練習量が
氏を国内最強のインフィニスト足らしめてきました。

具体的なペン回しの話。
正直氏のFSは本人がブログなどで事細かに解説を書いていることが多く、
技を抜き出して解説をする必要が無いため、
傾向だけ書こうかと思います。

まず、氏のFSは全体を通して”流れ”が強く意識されています。
動画の0:07~0:09や0:10~0:11などのように、
”ペンが動こうとするのを邪魔せずに自然な流れでペンを保持し続ける”動きに優れています。
これは通常のペン回しでは普通のことですが、
インフィでワンパターンを避けながらこれを実践するのは極めて難しいです。
理由は種々あるのですが、”インフィニストの技”にバリエーションが少ないことが大きな障害です。
「ちょっとまって、アンタ第一回で『ハフウィンのバリエーションは無限』て言ってたじゃん」
と思うかもしれませんが、次回以降で解説します(お決まり)。
結論だけ言っておくと、「理論的にはバリエーション豊富だが、実際には制約が多い」です。
その点氏は、新しい動きや不可能と思われていた動きを開拓することに余念がありません。
現代の優秀なインフィニストでも氏ほどに多彩なレパートリーを持つのは簡単じゃないでしょう。

また、氏の大きな特徴として、”見栄えの良い独特なチャージ”があります。
それは例えば、動画0:13の24チャージだったり、0:25の23チャージだったり、
あるいは0:35~のFSに山程盛り込まれているそれだったりですね。
前述の”流れを意識したFS”の中でこのようなチャージを取り入れることであえて円軌道を崩し、
視聴者に「おっ今のはなんだ?」と思わせる要素となります。
インフィは通常のFSのようにスプレッドやアラウンドなどでアクセントを用意するのが難しいため、
こういうところで目新しさを出していくことが大事です。
特にペン端を持ってのチャージは、ペン尻できれいな軌道を見せるのが難しい代わりに
動きが大きく見え、FSに華を添えてくれます。

以上、ippei師匠の紹介でした。
動画、記事どちらでもインフィニストに重要なことを教えてくれる人物です。
インフィニストを志す人がこれからいるとすれば、彼のFSをいくつかコピーしてみると
大きな財産が得られるかもしれません。






3人目、Maria(日本)


ioppei氏を”国内最強”の龍とするならば、竜闘虎争が虎、Maria氏です。
二雄が活動していた頃はこの二人が”インフィニスト”の体現でした。
あちらが床背景で大きく華のあるインフィニストならば、
こちらは机背景で細かく繊細なインフィニストであり、まさに対極。
現代のインフィニストでは最大勢力を誇る”キレイ系”インフィの奔りですね。

氏について特筆すべきはまず、FSにおける通常技の割合の高さです。
ippei氏の紹介で、インフィはアクセントを付けるのが難しいとお話しましたが、
それを解決する手段の一つがこれです。
合間にパスなどを取り入れることでインフィのロングコンボを避け、
ワンパターンになるのを防いでいるのです。
そのため、氏のFSでは”通常技からペン端を持つまでの繋ぎ”という要素を含みます。
これは通常技のみorペン端のみのFSでは見られない動きになり、新規性が生まれます。

内容のお話です。
1:01~1:02で、ネオバックアラウンドからペン端を持つ動きです。
ネオバックアラウンドでは巡回転で、そこからペン端を持って切り返し。
切り替えした勢いを利用して35チャージリバースと繋がります。
このように、切り返しの勢いを使って重力に逆らう動きを補助するテクニックは氏のFSで随所に見られます。
ペンの中央を原点とした半径がペンの半分である軌道から、
ペンの先端を原点とした半径がペンの全長である軌道へ自然な流れで繋ぐ手法ですね。
手の動きは小さいながらも空間が急に広がったように見えるため、
非常にユニークで見栄えがします。

同じ手法が1:14でも使われています。
前半ではペン端をもって大きな軌道。1:14で切り返し。
切り返し後は通常技を行うことで小さな軌道へ。
1:01とは逆に、空間が突然狭まるような流れですね。

2:10からは氏の中では貴重な、終始ペン端を持ってのFSですね。
2:14~2:16で非常に独特なパスコンボがあります。
動き自体は3軸を中心としてパス→シメトリカルパスで、3軸回りを一回転する軌道ですが、
ペン尻が重力に従って落ちていくのを利用して速い切り替えを行い、
2が一瞬触れただけの3ガンマンのように見せています。
これも通常のFSでは実現できない、インフィニスト特有の重力を利用した動きですね。
続けて2:16~2:17で手伏せ状態の12ハーフウィンドミル。
ただの12ハーフウィンドミルでもこのように手の向きを工夫することで
鮮烈な動きに見える場合があります。

2:26秒から再びインフィメインのFS。
このFSが昨今の”キレイ系”インフィの叩き台となっています。
2:26~2:28で35→13→35、
2:29~2:31で24→45→24、
2:32~2:34で23→25→23と、軸移動を再帰的にしています。
ペンの動き自体は大きく、しかし一方で軸移動を小さく
この対比によって終始ミニマルで美しい流れを作り出しています。

以上、Maria氏の紹介でした。
”振り回し”と形容されがちなインフィを”キレイ”に見せるコツが氏のFSには詰まっています。
インフィニストを志す人がこれからいるとすれば、彼のFSをいくつかコピーしてみると
大きな財産が得られるかもしれません。






以上、インフィニストのレジェンドたちの紹介でした。
「○○さんは!?」という意見もあるでしょうが、
この3名以外は活動時期がかなりズレるため一緒の尺度で紹介することが難しかったです。
源流がこの3名とは言え、現代のインフィニストに一番影響与えてるのは
BeigeさんとMindさんだろうなぁとかはちゃんと考えてます。

あ、そうだ(唐突)
インフィニストというカテゴリではないですが、非常に重要な人物をここで紹介しておきます。
JapEn3rd、SoinningPartyⅡで華麗なインフィを披露していたPlanter*氏です。
Planter*氏は世間的には”パスの名手”という扱いでした(はずです)。
しかし、上記のCVでは非常に特徴的なスタイルでインフィを行っていました。
元動画見つからなかったので動画は割愛しますが、
ペン尻が下を向いた状態である割合がかなり多く、
ペンの軌道が球体ではないという点で極めてユニークでした。
しかし、氏が現代のインフィニストに与えた最大影響は、ペン回しの部分ではありません。
これです。

planter.png
黄緑サンバに白HGGは”インフィの色”(断言)
これ持ってないインフィニストいるの?

というところで今回はここまで。
インフィニストを志す人がこれからいるとすれば、
彼らのFSをいくつかコピーしてみると大きな財産が得られるかもしれません。
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インフィニスト概論第一回『”インフィニスト”って?』

あけましておめでとうございます。
新年一発目の記事ですが、改造と編集なら書けるとか言っておきながら普通にペン回しの話題です。

今回から複数回に渡って、いわゆる”インフィニスト”と呼ばれる人に関する記事を書きます。
あくまで俺目線でね。皆色々考えはあると思うので、
記事を書くにあたって「これが正解だぜ!」という論調では決してないということをまずは明記しときます。
ちなみにこれもPACのBeigeさんの記事読んで俺もなんか書こうかなと思った次第です。

****************以下本題****************

まず今回の話を進めるにあたって、大前提となるのが

「”インフィニスト”は”インフィニティ系統の技”を使ってFSをする人を指した言葉ではない」

ということですね。
「言われるまでもないぞ!」って人もいるかもしれません。少なくとも自分はそうです。
ですが、ここをまずは明記しないと後々大問題に発展する恐れがあるので一応。
じゃあインフィニストってなんだというと、

「ペンの端を持ってFSをする人」

にほかならないでしょう。
これは少なくとも、俺がインフィニストまがいの存在となってから今日まで9年間、
そうであったと記憶してます。
ちなみに補足しておくならば、ここで言っている”インフィニティ系統の技”というのは

①「インフィニティ」及びそれに接頭辞の付いた技
②「ハーフウィンドミル」及びそれに接頭辞の付いた技

を指します。この段階で「あれ、おかしいぞ」って思った方。
その通り、まずもって現代における”インフィニティ”と呼ばれる技体系を作るには、
上記の要素ではまったく不十分です。
なぜならば、現代のペン回しの定義において

「インフィニティの技体系はその大半が未定義」

であるためです。明確に”インフィニティ系統の技”として定義されているのは、
先述した①②の技のみです。
そして本筋に戻ります。定義に従うならば、

「”インフィニスト”の使う技の大半は未定義の技である」

ということが言えます。
「ちょっと待って、仮にアンタの言う①②の技をメインでFS組んでたらそれは”インフィニスト”じゃないの?」
という疑問もあることでしょう。そしてその問いに対する答えは
「おそらくきっとイエス。たぶんね。」ってとこでしょうか。説明しましょう。

まずもって、上記①②に分類される技のみを用いて普段のFSを作り、”インフィニスト”と呼ばれた人ですが、
俺の知る限りでは皆無です。前例がありません。
よってこの人物が”インフィニスト”であるかどうかはハッキリ答えられないのです。
しかし、”上記①②に分類される技のみを用いて普段のFSを作り”の部分を実践していたスピナーは存在します。
たったひとり、多分一人だけ、
以前に”Evolving Spinner”通称ESというチームのメンバーとして活動していた「Mizm」さんその人ですね。
彼は間違いなくインフィニティ系統の技を多用したFSで知られた人物です。
しかし、Mizmさんを”インフィニスト”と呼ぶ風潮というのは存在していませんでした。
なぜかというと、そもそもその時”インフィニスト”という言葉が市民権を得ていなかったためです。
単純明快ですね。当時”インフィニスト”という言葉は一部の人が俗称として使っていた程度で、
まったくもって普及していませんでした。
よって必然、Mizmさんは”インフィニスト”を自認することも他認されることもなかったのです。
そして彼以降、”インフィニティ系統の技”をメインでFSを作る人物は現れませんでした。

さて、上で「”インフィニスト”の使う技の大半は未定義の技である」という風に書きました。
その理由は、「ペンの端を持つ行為」によるものが大きいと考えています。

例として、お好きな二本の指でペンの端を持った場合を考えてみましょう。
この状態だと、あらゆる場合で好き勝手にハーフウィンドミルをすることが出来ます。
一方で、その状態で”通常の技”、例えばパスであったり、ガンマンであったり
そういった動きをすることも可能です。

ハーフウィンドミルは非常にフレキシブルな技で、他の大半の技にはない”特徴”を持っています。
それは、

「ペンの端を指で保持できる限り、他の技と”同時に”使用することができる」

というものです。
現在ペン回しの技において、複数の技を同時に行うことはほとんど不可能です。
2バックアラウンド≫リバース いわゆるZCCのように、シームレスに繋がった技は存在しますが、
これは”同時”ではありません。
同時に複数の技を行う動きは、俺の知る限り”フラッシュソニック”および一部のパスのみです。
一方で、ハーフウィンドミルが”同時に”行える技はそれこそ無数にあります。
物理的に不可能じゃない限りあらゆる場合で可能ですからね。

具体例を上げましょう。
「34でペンの端を持ち、34-23ソニックの途中、24でペンを持っている状態で24ハーフウィンドミル」
この動きはあらゆるインフィニストのFSで基本中の基本として使われる動きです。
間違いなく”インフィニストの技”であり、そして”インフィニティ系統の技”ではありません。
この動きの”定義されてなさ”を提示しましょう。

①ペンの端を持つか否か
②ペン尻は手のどちら側にあるか
③どのタイミングでハーフウィンドミルを行うか

はい
基本中の基本としての動きの中にすらこれほどの”未定義”な要素が存在します。
この異常なまでの自由度の高さが十数年も”インフィニストの技”の定義を妨げてきました。

ところで、ここまでつらつらと”通常の技”と組み合わせたハーフウィンドミルの自由度の高さを書いてきましたが、
ではハーフウィンドミルは単体でも自由度の高い技であるか?というと、
言うまでもなくNOですね。これは明確かと思いますので説明はしません。
また、他方で、”インフィニティ”及びそれに接頭辞の付いた技に関しては、
驚くほどに自由度が低いです。
非常に表記がややこしくなるために具体例は出しませんが、スピナーの読者は自分で検証できるでしょう。
”インフィニティ系統の技”縛りでFSを組むのは例えるなら
「フルーエント」と付いた技のみでFSを作るくらいに選択肢が少なくなります。

そんな経緯もあり、現代の”インフィニスト”たちは
自由度の低い”インフィニティ系統の技”ではなく

「ハーフウィンドミルを混ぜ込んだ”通常の技”」

を使ってFSを作っている場合が十割であると言えます。
ここまでの話をまとめましょう。

①”インフィニティ系統の技”はFSを多く組めるほどのバリエーションを持っていない
②”ハーフウィンドミル”は”通常の技”と組み合わせることで広大なバリエーションをもたらす
③”ハーフウィンドミル”は通常、ペンの端を持っているときしか使用できない

②に関しては異論のある方も大勢いるでしょうが、それは次回以降で触れます。
以上三点から、冒頭の結論が導かれます。

「”インフィニスト”とはペンの端を持ってFSをする人である」

というところで今回はここまで。
誰も見ていないところで長文垂れ流すのきもちいい

Infinity5

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